製品を生産から人の手に届くまで
追跡できるように

和牛には商品の生産から消費までの過程を追跡できる「トレーサビリティ(牛の個体識別番号)」があります。一般的に革製品になってしまうと、管理することが難しいですが、淡路島レザーは最後まで管理し、牛の生産者と作製する作家をつなぎます。皮革が、どんな場所で、どんな状況で、どんな人たちと共につくられたのか知ることができます。

ファッションでも地産地消の素材を

革製品の原料となる皮は、主にアメリカを中心とした世界各地から輸入されています。和牛は数も少なく、体も小さいこともあり、素材として効率がよくありませんでした。だけど、牛のお肉をいただく時、副産物としてできる「皮」を、無駄なく大切に扱うことを心がけました。淡路島レザーは、地元や所縁のある複数の職人さんによってデザインされ、販売されます。

デジタルの世界だからこそ生産者の顔が見えるように。
淡路島レザーのストーリーを、ぜひ革製品で追体験してください。

坂本正和さん(五色ファーム代表)

兵庫県は牛の飼い方が全国的に、とても珍しいんです。兵庫県以外の牛をいれない「閉鎖育種」という手法をとっていて、兵庫県で生まれた和牛は兵庫県の牛でしか子どもをつくっていません。もともと「淡路ビーフ」として生まれてくる牛はいなくて、品種問わず淡路島などで育った牛、または淡路島での飼育期間が他の場所より長い牛を「淡路牛」というんです。それに比べ、「淡路ビーフ」というのは、淡路島に生まれた兵庫県にしかいない和牛の血統で、厳しい認定基準をクリアした牛肉だけに許されるブランド名です。

日本三大和牛の神戸ビーフも松阪牛も、そのルーツをたどれば約60%は淡路で生まれた牛にたどり着くんですよ。やっぱり島の穏やかな太陽とおいしい水の中で育った牛は、肉質の筋繊維が細かくて柔らかい。そして、淡路ビーフは熱を加えるとサシという脂肪が、周りの筋肉を解きほぐし、肉本来の甘みと脂肪の香りが混ざり合い、まろやかな味になるんです。「FOODは風土が育てる」そう思いますね。

このファームでは年間200頭の牛を育てています。牛は一頭ずつ性格も違うし、食べる量も違います。お肉の等級が1~12までありますが、みんな最高級のランクになることはありませんね。学校の生徒がみんな優等生では無いのと同じで、先生が生徒をみるかのように、仲の良い牛同士を一緒にしたり、毎日餌の様子を観察して、それぞれに合った餌や量を調節してあげたりすることが大事です。

淡路島レザーの話を聞いた時、「面白いな」と思いましたね。昔から革製品は身近にありましたけど、その革が「外国産」か「和牛」かなんて考えたこともありませんでしたし、「牛を育てた人」について分かるのもいいんじゃないかなって。私たちの生活って、肉を食べたり、財布やカバンで革製品を持っていたり、意外と「牛」と深く関わって生きているんですよね。だけど、「これは誰かが育ててくれたもの」ってイメージする機会は中々ない。牛がいて、つくってくれる人がいる。そんな背景までイメージできると、自分が持つ革製品に対する印象も変わってくるんじゃないかなと思います。